なきごと

しるしをつけても
ぬくもりにふれても
だきしめても

──ああ ぼくは
たったひとりで、ここにたっていた

沈んでいく太陽
草が揺れる
空が 流れていく

──嗚呼 僕は
此処で、泣いてもいいのだろうか

踏みしめる大地は熱く
鳥はかすかに僕をからかう
家路を急ぐ子どもたちの声
街の灯りは淡くやさしい

僕はひとりなのか? 本当に、ひとりなのだろうか

──涙は一筋
まっすぐに大地へと吸い込まれていった

(2010.03.15)

back