二つの足音

夕暮れが過ぎ
暗くなった帰り道を一人歩く

雨の匂いと
流れてくる花の香りがするだけの
静かな世界

その世界に そっとひとつ音を鳴らせば
それがこだまして
まるで二人で歩いているよう

だんだんと周りからは
夕飯の匂いと家族の団らんの声が
存在を増していく

ここまで来ると
ゴール地点まであと少し

そう思うと
二つの足音が 少しだけ
速く、大きく鳴り始めた

(2010.03.15)

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